国際謀略物のコレまでのアガサ・クリスティ作品とはちょっと違うポアロシリーズ4作目のサスペンス・スリラー『ビッグ4』


■概要

物語のスタイルがクリスティの多くの推理小説作品と違い、他一般的な推理小説とは異なるサスペンス・スリラー。もともと独立している短編をかき集め、短編と短編の間を継ぎ足して構成されている(下記-書籍について参照)。私立探偵ポアロのシリーズではあるが、扱う題材は国際謀略物であり、サスペンス・冒険小説にも近い。

■書籍について


「ビッグ4」(原題: The Big Four)
1927年にイギリスで初版発行。アガサ・クリスティの長編推理小説7作目であり、エルキュール・ポアロ・シリーズの4作目。1924年にスケッチ誌に『4号だった男』のタイトルで連載された短編12編をまとめて一貫した読み物にしたもの。

■本の内容

突然ポアロの家に倒れ込んできた英国情報部員は、うわの空で数字の4を書くばかり―国際犯罪組織〈ビッグ4〉と名探偵の対決はこうして幕を開けた。証人を抹殺し決して正体をあらわさない悪事の天才四人を追って、大陸へ渡ったポアロを恐るべき凶手が待ちかまえていた。新訳で贈る波瀾万丈の冒険と驚愕の結末。

■作品にまつわるトリビア

母親の死後、一語もかけずにいたアガサ・クリスティだが、そんな彼女に夫アーチボルトの兄・キャンベル(アガサ・クリスティによると良き友人)に『ザ・スケッチ』誌に掲載された12の短編を一つにまとめたものをだしなさいと提案された。世間をにぎわした直後であったため初版8500部はすぐに無くなったという。
ザ・スケッチ誌でのタイトルは「4号だった男」である。
本作の制作は実はポアロの3作目「アクロイド殺し」より前だったが、単行本として先に「アクロイド殺し」が発行された。
本作は帝政ロシア時代に貴族だった女性で、堂々とした振る舞いにポアロから「非凡な女性」と評価されたが、惚れていたような描写や、パトリシア・ガーネットによく似た「若くて美しいイギリスの女の子を愛したことがある」との発言から、ポワロにとっての特別な人(TVドラマでは恋の相手として脚色されていた)と成り得る重要なキャラクターがビッグ4の一人として登場する(但し初登場ではない)、ちなみにポアロ自身妻子はおらず、生涯独身を貫いている。



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