伝説のホラー映画「エクソシスト」にはモデルになった実際の事件があった?~「メリーランド悪魔憑き事件」とは?

2014/03/05

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3月9日
ホラー映画の古典的傑作として名高い「エクソシスト」。この映画は,実際に起きた事件をモデルにしていたといわれている。

1949年3月9日から数ヶ月にわたって,事件に関わったレイモンド・J.・ビショップ神父の日記がワシントン・ポスト紙に掲載され、これを学生時代に読んだエクソシスト」の小説の原作者であるウィリアム・ピーター・ブラッティが後に小説を書いたことで有名になったのである。
果たして、実際に起きた「メリーランド悪魔憑き事件」とはどんな事件だったのか?


謎の少年ロビー・マンハイム

(写真:悪魔祓いを忠実に再現した映画「ザ・ライト」より)

ロビー・マンハイム(もしくはローランド・ドー)は、のちに事件を記録した歴史作家によって付けられた仮名である。彼は、1935年6月1日生れとされ、事件が起きた当時は13歳だったといわれている。
彼はプロテスタント系のドイツ人一家に1人っ子として生まれ、1940年代、メリーランド州コッテージシティ市に住んでいた。


ロビーは1人っ子であったため、叔母のハリエットが遊び友達になっていた。
彼女はロビーを甥というよりは特別に親しい友人として扱っていたという。また、彼女は霊を信じていたため、ウィジャ・ボード(画像・いわゆる「こっくりさん」)を死者とのコンタクト手段とみなした。彼女はロビーにウィジャ・ボードを教え、彼はそれに興味を示した。
ロビーは普通に遊びを楽しむどこにでもいる少年だったにもかかわらず、叔母と遊ぶうち、ウィジャ・ボードに手を出すようになっていったという。

ことの起こり



1949年1月15日の土曜日の晩、両親がロビーと祖母を残して外出した。しばらくすると水が漏れるような音がし始めたが、家中の水道の蛇口を確かめたにもかかわらず、その音は止まらなかった。そして、水が漏れている場所を確かめようとしていた時に、彼らはキリストの絵が揺れだすのを目撃したという。
夜になって両親が家に帰ると同時に水漏れの音は止まったが、何かを叩くようなコツコツという音や、今度は引っ掻くようなキーキーという音が聞こえ始めた。しかし、床板や壁板を引き剥がしてもネズミの形跡は見つからなかった。

1月26日、不審な音の発生からたった11日後に叔母のハリエットがセント・ルイスで突然他界する。この事はロビーに非常に大きな衝撃を与えた。

ポルターガイスト現象が多発


叔母のハリエットの死に前後して、祖母の部屋の引っ掻くような音が止んだが、別のポルターガイスト現象が始まったという。これらの不可思議な現象では、キーキー音やコツコツ音に加え独りでに家具が動いたり、花瓶などの物が飛んだりした。

加えて、ロビーは人格が急変し、彼の身体には「助けて!」「閉じ込められた」などの文字や顔が浮かび上がり、引っ掻いたような跡が現れ、彼のそばにあった聖水の容器が独りでに床に叩きつけられたという。またロビーが学校に行った時、彼の机がグラグラ動き、すーっと廊下に向かって滑り出してクラスメートの机に衝突したという。レポートによれば、計48人がこのような信じがたい出来事を目撃したとされる。


怯えた一家はルーテル派のシュルツ牧師に助けを求めた。2月17日、牧師は観察のためロビーの家に宿泊した。
ロビーはダブルベッドで牧師の隣に眠っていたが、暗闇の中、ベッドからブンブンと唸る音や壁を引っ掻くような音がしたと牧師は報告している。また、夜が更けて奇怪な現象が起こったとも牧師は報告している。少年が使っている重たい椅子が独りでに傾いてひっくり返り、毛布を敷いたベッドに寝かせた少年の体が説明のつかないような動きで部屋中を動きまわったという。

叔母がなくなった地・セントルイスへ


その後、ロビーに対してカトリック系の米国聖公会の元で悪魔祓いの儀式が行われた。ローマ・カトリック教会のエドワード・ヒューズ神父はイエズス会ジョージタウン大学病院において13歳の少年の悪魔祓いの儀式を指揮した。

儀式の間、少年は神父に傷を負わせ、激痛を与えた。そのため儀式が中断し、少年は家族の元へ帰された。ロビー・マンハイムが家に戻った時、彼はわめき声をあげ、胸の上に血で書かれた"St. Louis"(セントルイス)という単語を家族が発見した。その町は叔母のハリエットが死亡した場所であった。そのため一家はセント・ルイスへ列車で向かった。


セントルイスにでは高名な二人の牧師が親類の家にいたロビーを訪問したが、そこで少年がキリスト教に関わる物を怖れ、ベッドが揺れ動き物が飛び、少年が悪魔のような声を発するのを聞いた。このためボウダーン神父は少年から悪魔を追い払う許可を大司教に求めた。

本格的なエクソシスト(悪魔祓い)が始まる

(写真:実在するトップのエクソシスト:トム・ウィリス牧師)

少年の体から悪魔を追い払うための儀式は、2ヶ月以上の期間にわたって30回も行われたという。
悪魔祓いの最中、ロビーは目を閉じていたにもかかわらず、神父の目に向けて唾を吐きかけた。ハロラン神父によれば、儀式の最中にロビーのベッドが荒々しく揺れ、聖水の瓶が宙にき、"evil"や"hell"のような言葉やさまざまな模様が少年の体に現れたと述べている。
また儀式の最中、ロビーがハロラン神父の鼻を折り、普段とは似ても似つかない異常な声音のわめき声をあげた。
しかし、とうとう神父たちが悪魔に去れと命じると、悪魔はボウダーン神父とハロラン神父に応じたという。


そして悪魔が去ると、ロビーは普段の言葉を発した。その時の言葉は"Christus, Domini"
(主キリスト)あるいは"Christ, Lord"(神さま)だった。これらの言葉を発した時、雷鳴やショットガンのような轟音が病院中に響いたとレポートに記されている。
この凄惨な儀式の後、ロビー・マンハイムは"It's over. It's over."(終わった、終わったよ。)と言ったと言われている。そして儀式の行われた部屋は二度と立ち入れないように封印された。

こうして、マンハイム一家には平穏が戻った。
ロビーはその後も平穏な人生を送ったが、悪魔憑きの時期の記憶はないという。


少年の異変の原因は一体何だったのか?~現在の見解



その後、ロビー・マンハイムについては、解離性同一性障害、トゥレット症候群、統合失調症、性的虐待、集団ヒステリーといった一般的精神医学上の解釈がなされてきた。
しかし、ロビー・マンハイムのケースについて分析を行った精神分析医のテリー・D.・クーパー博士はこの事件が一般的な精神医学では説明がつかないという結論に達したという。

また、ロビーを診察した内科医や精神科医が証拠を発見したり見解を出すことは無かったが、彼を診察した別の内科専門医たちは、ロビーが自動症や強迫神経症といった障害があったのではと考えている。




さらに、新たな仮説として、悪魔憑きに似た急性の破壊行動抑制を起こす病気として、「抗NMDA受容体脳炎」の可能性も提起されているという。この病気は発症初期に不安,抑うつ,幻覚妄想などの精神症状を呈することが特徴であり,その後は意識障害,不随意運動,けいれん発作などの重篤な経過をとるとされる。
現在では「少年の自作自演」「てんかんや解離性同一性障害と言った脳障害の一種」「叔母の霊が憑依した」「弱った少年の心に悪魔が憑いた」などの説があるが、果たして真相は?


参照元:Robbie Mannheim

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