マープルの原型は祖母?!キャロライン?!せんさく好きの老嬢ミス・マープルの最初の長編『牧師館の殺人』



■概要

セント・メアリ・ミード村が舞台のポアロと並ぶクリスティ作品の代表的な主人公(名探偵)であるミス・マープルの最初の長編。せんさく好きの老嬢ミス・マープルが深い洞察力で真相に迫る謎解きが人気を博す。マープルものとしては珍しく本格ミステリー推理小説ものとして楽しめる作品。

■書籍について


「牧師館の殺人」(原題: The Murder at the Vicarage)
1930年にイギリスで初版発行。アガサ・クリスティの長編推理小説10作目であり、ミス・マープルの初登場作品。

■本の内容

ロンドン郊外のセント・メアリ・ミード村で殺人事件が発生した。しかも、その殺人は村の牧師館で起こったのだ。殺害されたのは裕福な村の名士プロズロー大佐。被害者は吝嗇と杓子定規な性格のために疎まれていたため、恨みを持つ者は少なくない。教区担当の牧師クレメントも容疑者の一人として数え上げられてしまう。そうこうするうち画家の青年ロレンスが犯人として自首し、この事件は解決かと思われたが、被害者の妻であるアンまでもが自首して、しかも両方とも無実だとわかったのである。せんさく好きの有閑婦人、マープルがこの謎に挑む。


■作品にまつわるトリビア

『火曜クラブ』(かようクラブ、原題:The Thirteen Problems, 米題:The Tuesday Club Mystery)は、1932年に刊行されたアガサ・クリスティの短編集。実はこの短編集、1927年に雑誌『スケッチ誌』に短編「火曜クラブ」を皮切りに連載されたマープルもの短編12編に、オリジナルの1篇が加筆され刊行された短編集。ということは、本来は1927年のスケッチ誌の短編12編がミス・マープルの初登場作品になるが、1932年の12編+1編は32年に刊行しているため、本書をミス・マープルの初登場作品と見なすことが多い。

ミス・マープルのモデルとなったのは作者の祖母という説。また、マープルの原型と呼べる人物が、『アクロイド殺し』に既に登場している(シェパード医師の姉・キャロライン)という2説あるが、どちらもアガサ・クリスティ本人が唱えている。ミス・マープルは65〜70歳くらいなのではないかという説が多い。
ファンによりポアロとの共演が熱望されたが、ポアロとマープルが同一作品に登場することはなかった。


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