■概要
多くの解説で傑作と評されてはいるが、ミステリー好きの読者には犯人を自然と特定できてしまうといった意見が多く、聞こえてくる評価は高いものの、あまりベスト10にはあげられない作品。邦題としては「邪悪の家」よりも「エンドハウスの怪事件」というタイトルのほうが聞き慣れている方が多い。ポアロが登場する6作目にあたるシリーズで、1932年に発表されたアガサ・クリスティの長編推理小説。■書籍について
「邪悪の家(エンドハウスの怪事件)」(原題:Peril at End House)
1932年にイギリスで初版発行。ポアロ作品として12作目、アガサ・クリスティ作品として6作目にあたる。戦後初めて日本語訳された長編。
■本の内容
名探偵ポアロが出会った美女ニックは、古びた邸の所有者であった。彼女は「三度も命を狙われた」ことを告白するが、まさにその最中、ポアロの目の前で彼女の帽子が撃ち抜かれた!ポアロは真相を探るべく邸に赴くが、手がかりはまったくつかめない。不安が支配する中、邸でパーティが催されることになるが…。■作品にまつわるトリビア
考古学者のマックス・マローワンとスコットランドのエジンバラで再婚した直後で、アガサ自身「まるで印象に残っていない長編で、それを書いていたときのことさえ思い出せない」と自伝で語っている。キャムデン街に住んだり、テムズ河畔ウォリンフォードのウィンターブルック・ハウスに居住地を移したりと日常生活が充実していたようだ。最初の単行本が早川書房から出版されなかった3作のうちの一つ。出版されたのは講談社。
他のアガサ・クリスティのミステリー記事
■聖書とシェイクスピアの次に読まれている!?「ミステリの女王」アガサ・クリスティのデビュー作『スタイルズ荘の怪事件』■アガサ・クリスティのミステリーの中でも珍しくアクションシーンがある作品!?おしどり探偵シリーズ第一弾『秘密機関』
■パリ警察のジロー警部が今回のポアロのライバルとして初登場し「推理合戦」を繰り広げるポアロ作品として2作目の「ゴルフ場殺人事件」
■アガサ・クリスティの世界一周旅行の経験が散りばめられた冒険ものの謎解き小説「茶色の服の男」
■アガサ・クリスティの謎が謎を生み、波瀾万丈に物語が展開する冒険ミステリー「「チムニーズ館の秘密」
■記述そのものにトリックを仕組んだトリックと意外な真犯人をめぐってフェアかアンフェアか大論争を巻き起こしたアガサ・クリスティの代表筆頭作「アクロイド殺し」
■国際謀略物のコレまでのアガサ・クリスティ作品とはちょっと違うポアロシリーズ4作目のサスペンス・スリラー『ビッグ4』
■豪華列車ブルートレインで起こった高価なルビーをめぐる殺人事件 クリスティが失踪事件後精神的に不安定な時期に執筆した「青列車の秘密」
■アガサ・クリスティの長編小説の中で冒険小説の要素が強いロンドン警視庁のバトル警視2作目「七つの時計」
■マープルの原型は祖母?!キャロライン?!せんさく好きの老嬢ミス・マープルの最初の長編『牧師館の殺人』
■坂口安吾や江戸川乱歩が絶賛する本格ミステリ ポアロもミス・マープルも登場しないノン・シリーズ『シタフォードの秘密』
■アガサ本人が「まるで印象に残っていない長編」と語ったポアロが登場6作目『邪悪の家』