豪華列車ブルートレインで起こった高価なルビーをめぐる殺人事件 クリスティが失踪事件後精神的に不安定な時期に執筆した「青列車の秘密」


■概要

煌びやかな装いの紳士淑女。豪華なパーティ。そして愛憎入り交じる人間関係、豪華列車ブルートレインで起こった高価なルビーをめぐる殺人事件。実にポアロシリーズらしい本作。三人称視点で書かれているため、特定の主人公がおらず、登場人物の背景と行動を書いた物語が章によって変わる。クリスティーがプロの重圧と離婚に発展する私生活上の悩みの中で書かれ、クリスティー自身は気に入っていなかったが、反して売れ行きは好調だった。

■書籍について


「青列車の秘密」(原題: The Mystery of the Blue Train)
1928年にイギリスで初版発行。アガサ・クリスティの長編推理小説8作目であり、エルキュール・ポアロ・シリーズの5作目。クリスティが失踪事件後、精神的に不安定な時期に執筆された作品で、すでに発表されていた短編「プリマス行急行列車」のプロットを長編向けに焼き直したもの。

■本の内容

走行中の豪華列車“ブルー・トレイン”内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!


■作品にまつわるトリビア

本作には、ヘイスティングやミス・レモンやジャップ警部は本作品には登場しない。
本作に登場するキャサリン・グレーは、ミス・マープルシリーズの主舞台であるセント・メアリ・ミード村に住んでいる。
書きたくないときにも書くもの、あまり気に入っていないものでも書くもの、そして特によくかけていないものでも書くもの…と『このときがわたしにとってアマチュアからプロへと転じた瞬間であった』と自身の本作「青列車の秘密」が好きではないことを明かし、自身がアマチュアからプロへと転身した作品と明かした。
「火の心」(炎のハート)と名付けられているルビーは、398.72カラットで、エカチェリーナ2世の王冠につけられているもの。1676年まで、250年以上にわたって中国の皇帝の王冠を飾っていたらしいが、ロシアの外交官ニコライ・ミレスクが買い取って、ロマノフクラウンジュエルとなった。



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