1794年9月28日、38歳で亡くなったジェームズ・リーソンの墓碑にはフリーメイソンのシンボルとともに、フリーメイソンの暗号文として使われる「ピッグペン暗号(Pigpen cipher)」で記された暗号文が刻まれていた。
ピッグペン暗号とは一体なんなのか?そして、墓碑(写真)に使われた謎のメッセージの内容とは?
また、各国の要人がこぞって指し示す謎の「フリーメイソンのサイン」とは?
秘密結社「フリーメイソン」
フリーメイソン(Freemason)は、16世紀後半から17世紀初頭に、判然としない起源から起きた友愛結社。
現在多様な形で全世界に存在し、その会員数は600万人に上り、うち15万人はスコットランド・グランドロッジならびにアイルランド・グランドロッジの管区下に、25万人は英連邦グランドロッジに、200万人は米国のグランドロッジに所属しているという。
「フリーメイソン」とは厳密には各個人会員の事を指しており、団体名としては英: Freemasonry(フリーメイソンリー)、仏: Franc-maçonnerie(フランマソヌリ)、伊: Massoneria(マッソネリア)、独: Freimaurerei(フライマウレライ)、露: Масонство(マソンストヴォ)である。
フリーメーソンリー(自由な石工)の起源は、伝説によるとエルサレムのソロモンの大神殿を建設した建築家達に遡るという。だが、これは勿論、伝説であって、信憑性は無い。
フリーメーソン(freemason)が、最初に歴史の記録に現れるのは、1378年にカンタベリー大主教が出した勅許状であり、少なくともこの時代には存在していたことが分かっている。
そして、その起源は、1276年に神聖ローマ帝国がストラスプールの大聖堂の建築に携わる石工職人のギルド(同業組合)に労役と税金を免除したことが始まちだと言うのが定説である。
フリーメイソン(フリーメイソンリー)の会員数は米国が最大。
初期の移民は宗教闘争から逃れてきた者が多く、その中にフリーメイソンの会員が数多く含まれていたことに起因し、その理念と集会はコロニーの人々をまとめる役割を持った。
ベンジャミン・フランクリンやジョージ・ワシントンなど、「アメリカ建国の父」56人の内、53人が会員であり、歴代アメリカ合衆国大統領のうち、ワシントンを含めて14人が会員だったとされる(15人という説もある)。
「フリーメイソンの握手」とは
フリーメイソンには当人たちにしかわからない(秘密の暗号でもある)独特の握手法があるとも言われている。特にメーソンの握手は基本的に親指の位置が特徴的と言われている。
握手が噛み合った場合はお互いをフリーメーソンリーとしてブラザーと呼び合うと言われている。
まず、「徒弟」の握手は「ボアズ」と呼ばれ、握手をしながら親指を立て、相手の人差し指を3度叩くといわれている。
この握手法は「力」を表しているという。
職人の握手は「ヤキン」と呼ばれ、握手をする際に中指を折り曲げるといわれている。
この握手法は「確立」を表している。
そして、この2つを合わせると「安定」が生じるとされている。
「親方」の握手は「ライオンの前足」と呼ばれ、中指と薬指の間を大きく開けた独特の握手法だ。
この指を広げた握手は「直角定規」と「コンパス」を表しているといわれ、交差させることで「道徳」と「真理」の調和を、そしてその形自体は「祝福」をあらわすといわれている。
この「親方」の握手法はフリーメイソンの創設神話であり、「ヒラム伝説」の、殺されたヒラムが14日後に遺体を発見した「職人」の握手で蘇ったとされる「ライオンの握手法」と同じなのだといわれている。
また、フリーメイソンの中心的な組織の一つであると言われる「イルミナティ」にも
独特のサインがあると言われている。
このサインは、イルミナティへの忠誠を表し、仲間である事の確認のために使われている合図( サイン )と言われている。
その合図は、サタンの角を指で表現していて、『 悪魔の「 ヤギ( 山羊 )のヘッド 」合図 』とも『 イルミナティの悪魔手信号 』とも呼ばれているもので、正式名をコルナ( corna )という。
もともと「corna」は、人差し指と小指を立てて中指と薬指をたたみ、そこへ親指を添えるジェスチャーである。コルナは、イタリア語で角(つの)を意味する。
このジェスチャーには悪運や邪視を祓う意味もあるほか、サタンやサタン崇拝とも関連性があといわれている。
現在でもイタリア(特にナポリ)を中心に世界各地で邪視を防ぐおまじないとして行われていて、イタリアの迷信によると、“malocchio”(直訳すると“邪眼”)の呪いを避けるには“牛”が効果的であるとされており、その牛の角をかたどった手の形(人差し指と小指)が魔除けのサインとして伝わっているという。
このサインは各国の主要人物がこぞって形作っており、これはイルミナティへの忠誠を表し、仲間である事の確認のために使われている合図( サイン )であると言われている。
フリーメイソンの暗号「ピッグペン暗号」とは
フリーメイソンの握手とはまた別に、フリーメイソンの暗号であるといわれる「ピッグペン暗号」(上写真)というものがある。
1794年9月28日、38歳で亡くなったジェームズ・リーソンの墓碑(下写真)にはフリーメイソンのシンボルとともに、ピッグペン暗号で記された暗号文が刻まれている。
ピッグペン暗号は単アルファベット換字式暗号の一つで、何世紀もの長きにわたりさまざまな形をとって生き延び、1700年代にはフリーメースンのメンバーたちが秘密の記録をつけるために使用したといわれている。
アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンも、フリーメイソンの「ピッグペン暗号」を使って、独立戦争時に暗号通信を使うことができたといわれている。
まず、アルファベットを上図のようなパターンにしたがって記号に置き換える。
その記号をアプリケで表現しやすいようにと考えたものが、図の下段だ。この記号でA~Zまでの26文字をすべて表すことができるという。
この暗号を使ってジェームズ・リーソン の墓碑に刻まれた暗号文 を解読すると以下のようなメッセージとなるという。
"Remember Death"(死を忘れるな)
参照元:フリーメイソンの暗号、暗号文