2020年のこの日、アメリカ国防省がある3本の動画に映っている謎の飛行物体を、「未確認航空現象(Unidentified Aerial Phenomena、UAP)」である、と公式に認定した。
映像には高速で動き回る未確認飛行物体(UFO)と思われる物体が映っている。
このうち2本では、その動きの早さに乗員が驚きの声を上げているほどだった。
米国国防省が、公式に未確認飛行物体を認定することは前例がないという。
果たして、この動画にうつっている物体の正体は?
目次
- 謎の飛行物体の映る3本の動画
- ニューヨーク・タイムズと「謎の公益法人」
- 先に動画を本物と認めた米国海軍
- 「未確認飛行現象」とは?
- とうとう米国防総省が認める
- 物体の正体は何なのか?
- 日本でも未確認飛行物体へのマニュアルを作成される
謎の飛行物体の映る3本の動画
▲米国海軍によって撮影された謎の飛行物体
このうち2本の動画では、その動きの早さに乗員が驚きの声を上げていた。1本には、ドローン(無人機)かもしれないと撮影者が推測する音声が入っている。
▲2004年に撮影された「FLIR1」の動画
いちばん古い動画「FLIR1」は、ジェット機の赤外線カメラによるもので、楕円形の物体が急激に速度を上げる様子が映っている。
▲2015年に撮影された「Gimbal」の動画
「ジンバル(Gimbal)」と呼ばれる15年の動画では、謎の飛行物体が雲の中を素早く横切ってから速度を落とし、回転し始める。撮影したパイロットは、無線で「とんでもないドローンだ」と形容している。
▲2015年に撮影された「Go Fast」の動画
「ゴー・ファスト(Go Fast)」と呼ばれているもう1本の2015年の動画では、低い高度で海上を飛ぶ小さな白い点をジェット機の赤外線カメラが追っている。
物体には見てわかる翼や排気口がなく、その飛行はいま知られている物理法則に反しているように見える。
『ニューヨーク・タイムズ』がこの動画を、17年と18年に国防総省の「謎のUFOプログラム」に関するトップ記事で紹介するまでは、これらの映像が一般の目に触れることはなかった。
2017年12月と2018年3月、ニューヨーク・タイムズが公開したこの動画は、謎の公益法人「To The Stars Academy of Arts (TTSAAS)」によって掘り出された映像だった。
この、「To The Stars Academy of Arts (TTSAAS)」という公益法人は、ポップパンクバンド「ブリンク 182」の元リーダーであるトム・デロング設立した科学研究企業だった。
ところが、国防総省高官は声明のなかで、17年の公開は「許可されたものではなかった」と述べている。
米海軍関係者が声明を発表し、この映像が「説明できない航空現象」が実際に映っていることを認めたのである。
「未確認飛行物体」ではなく、「未確認航空現象」 という用語が使用されたのは、これが、様々な軍事統制訓練範囲の空域に進入・運用している未承認・未確認航空機・物体の目撃・観測といった基本的な要因を持っているため、そう表現したと米海軍関係者は認めている。
米海軍がこの映像を認めた当時、ペンタゴンの広報担当者は、米Gizmodoに対して「国防総省としては映像に対してコメントは差し控える」と話していた。
国防総省はそれまで動画の公開を許可していなかったが、ようやく公開が許可されたかたちとなった。
映像をなぜ公開したのか?
さらに、国防総省は公開した動画を「非機密」であると表現した。
非機密ということは、軍はこの動画を国家安全保障上の制約を課さねばならないほどの機密情報だとは、一度たりとも思わなかった、ということである。
今回の米国総省の発表を受け、日本でも防衛省が航空自衛隊のF15戦闘機などがUFOと遭遇した場合の対処手順を定める方針を発表した。
2020年4月28日、河野太郎防衛相は記者会見で、「自衛隊のパイロットは今までUFOに遭遇したことはないようだが、万が一遭遇したときの手順をしっかり定めたい」と述べた。
ニューヨーク・タイムズと「謎の公益法人」
▲公益法人To The Stars Academy of Arts
▲ポップパンクバンド「BLINK 182 」
UFOなどの説明のつかない現象の研究を目的として設立した企業で、To the Starsのスタッフは17年に動画を公開した際、これらの映像は「正式な機密解除の審査過程を経て一般公開を許可された」と主張していた。
2019年8月、機密解除された政府文書を掲載するThe Black Vaultというサイトの運営者であり、個人研究家のジョン・グリーンウォルド氏は、米国海軍に対して「FLIR1」・「Gimbal」・「Go Fast」の3本の映像について情報を求めた。
そして9月初め、海軍情報戦争作戦部ジョセフ・グラディシャー副部長がグリーンウォルド氏の質問に対し、「海軍は、これらの映像に含まれる物体を”未確認航空現象”と規定している」と返答した。
そして9月初め、海軍情報戦争作戦部ジョセフ・グラディシャー副部長がグリーンウォルド氏の質問に対し、「海軍は、これらの映像に含まれる物体を”未確認航空現象”と規定している」と返答した。
米海軍がUFO関連の事例に対し、「未確認航空現象」として認定すること自体が前例のないことだった。
「未確認航空現象」とは?
「未確認飛行物体」ではなく、「未確認航空現象」 という用語が使用されたのは、これが、様々な軍事統制訓練範囲の空域に進入・運用している未承認・未確認航空機・物体の目撃・観測といった基本的な要因を持っているため、そう表現したと米海軍関係者は認めている。
質問をしたグリーンウォルド氏は、当初、「国防総省が以前に公表した公式文書で使用していた表現を使えば、米海軍はこれらの物体を”風船”あるいは”ドローン”と表現するだろう」、と予想していたという。
しかし「風船」や「ドローン」とは表現しなかった。
しかし「風船」や「ドローン」とは表現しなかった。
彼らは、これらの動画に描かれている 「現象」 は 「未確認」 であると述べ、それが記録に残ることとなったのだ。
米海軍がこの映像を認めた当時、ペンタゴンの広報担当者は、米Gizmodoに対して「国防総省としては映像に対してコメントは差し控える」と話していた。
とうとう米国国防総省が認める
▲米国国防省
しかし、2020年4月27日(米国時間)、これらの3本の動画を、米国防総省がに正式公開した。
映像をなぜ公開したのか?
国防総省は「出回っている映像が本物かどうかや、ほかに何か隠しているのではないか、という人々の誤解を解くためだ」と説明している。
さらに、国防総省は公開した動画を「非機密」であると表現した。
非機密ということは、軍はこの動画を国家安全保障上の制約を課さねばならないほどの機密情報だとは、一度たりとも思わなかった、ということである。
国防総省はプレスリリースで、「出回っている映像が本物なのかどうか、映像にはまだ何かあるのかどうかについての国民の誤解を解くために動画を公開する」と説明している。
※これらの動画は米国海軍の公式サイトから、現在もダウンロードが可能である。
物体の正体は何なのか?
では、そもそも動画に写っている、この謎の物体は一体なんなのか?
国防総省が正式に動画公開を認めたことで、「とうとう米軍が未確認飛行物体(UFO)の存在を認めた」と一時話題となったが、国防総省は写っている物体が一体何なのか、は依然わかっていないとしている。
国防総省はプレスリリースで「動画のなかで観察された空中現象は、いまだに『未確認』のままである」と認めている。日本でも未確認飛行物体へのマニュアルが作成される
▲航空自衛隊のF15戦闘機
アメリカ海軍では長年、正体がわからない飛行物体が目撃された場合、「不可解な現象」として記録に残してこなかった。
しかし、経験豊富で信頼できる多くのパイロットから目撃情報が寄せられていることから、2019年、正式に記録に残すための報告手順を定めたガイドラインを作成している。
はたして真相は?
UFOじゃないけど...米海軍「未確認航空現象」を認める