神秘の民族『ドゴン族』はなぜ現代天文学をも凌駕するような天文知識をもっていたのか?!世界創世神話と『シリウスB』の謎

2019/11/04

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1月31日

1862年のこの日、アメリカの望遠鏡製作者アルヴァン・グラハム・クラークによって初めてある一つの星が観測された。
その星の名は「シリウスB」。

当時の天文学の最先端技術によって観測されたこの星は、実は以前より”ある民族”の伝承の中で、確認されていた。
その民族とは西アフリカ・マリ共和国に住む”ドゴン族”。
このシリウスBの存在を、アフリカのマリ共和国に住むドゴン族は、はるか昔より知っていたのだという。

彼らはなぜそんなにも高い天文学的知識をもっていたのか?そして、ドゴン族の驚くべき宇宙観とは?





幻の連星「シリウスB」の発見


                                         

太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星であるとされるシリウスは、もともと1つの星であると考えられていた。
しかし、1844年の段階で、ドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルが軌道の揺らぎを観測し、伴星(連星のうちで,光度の暗い方の星)の存在が推定されていた。

この伴星の周期は50年で、非常に重い物質でできていると推定していた。しかし、観測で確認されたのは1862年のことで、アメリカ人のA・クラークによる屈折望遠鏡の発明によって、やっと人間の目でシリウス伴星を見ることができるようになったといわれている。

                 

この伴星は「シリウスB」と呼ばれ、半径は地球ほどだが、質量は太陽ほどもある。
これは1立方センチの重さが1トンとも、10トンともいわれる地球には存在しない物質でできているからだといわれている。こうした伴星の天文学的な性質が確認され、最初の白色矮星とされたのは1925年のことだった。

本来目で見ることができるはずの連星(2つの星が重なり合っていること)ではあるが、主星(シリウスA)と伴星(シリウスB)の光度差は極めて大きく、また近くにあるため、伴星が主星の光で遮られてしまい、小さな望遠鏡で伴星を見るのは無理であったため、その存在は長い間謎とされてきた。

ところが、この星の存在をはるか昔より知っていたとされる人々が、西アフリカの「バンディアガラの断崖」と呼ばれる地域に住んでいた。これが、ミステリーの始まりだった。

神秘の民族 ”ドゴン族” とは

▲ドゴン族の村


ドゴン族の住むアフリカ西部にあるマリ共和国は、国土の大半が、砂漠に近い乾燥しきった大地と、ニジェール川領域に面した断崖である。

▲バンディアガラの断崖


この断崖は「バンディアガラの断崖」(写真上)と呼ばれている。
ここに住むドゴン族は、外部との接触をいっさい断って暮らしていた。

最近まで、ドゴン族についてわかっていたのは、彼らがこの地に住み着くようになったのは1300年代ごろからであること。
また、要塞のような村落にたてこもり、外部の人を寄せつけなかったのは15、6世紀にアフリカ一体に吹き荒れた、奴隷狩りから民族を守るため、さらに、イスラム化の波にドゴン族の文化が失われることを恐れたから、ということぐらいだったという。
彼らの日常生活の様子や、ドゴン族特有の文化の詳細は長い間、まったく闇に閉ざされていたのである。

しかし、彼らには高度に発達した宇宙観と、天文知識を垣間見る神話があったことが発見されるのである。

フランス民族学者たちによる発見

  ▲ドゴン族を調査したM・グリオール


始まりは二人のフランス人の民族学者が、ドゴン族の調査に行ったことからだった。
民族学者にとってドゴン族の存在はまるで生きた博物館のようなものだったのだ。

ドゴン族の神話を最初に調査したのは、M・グリオール(写真上)とG・ディテルランというふたりのフランス人の人類学者だった。

だが、彼らにとってドゴン族との接触は並大抵なことではなかった。彼らがドゴン族の胸襟(きょうきん)を開くまでには実に10余年の時間を要し、2人はさらに数年、この地にとどまって、つまり、10数年の歳月をかけて、根気よくドゴン族の文化を聞き出すことに成功したという。

▲ドゴン族

彼らは、その文化の豊穣さに驚愕する。ドゴン族は、現代人の度肝を抜くほど精緻な天文学的な知識をもっており、その宇宙観はそのまま深遠な宗教学の奥義に通じるものであったのだ。

部族のなかでも神官などごく一部の人だけに、何段階ものイニシエーションを通して伝えられる秘中の秘の知識があり、それがシリウスと深く関係していた。

グリオールとディテルランは1950年、その報告書を「スーダン原住民の伝承によるシリウス星系」というタイトルで、フランスの人類学関係の雑誌に発表した。その後、『青い狐』(1965)という著書で、さらに詳しく報告している。



問題は、彼らの報告に含まれていたドゴン族が持っていた驚くべき知識だった。シリウスが主星と伴星からなる連星であることや、シリウス伴星の周期が50年であること、またシリウス伴星は白色矮星であることを、ドゴン族は知っていたというのだ。


ドゴン族の神話


ドゴン族のシリウス神話によれば、主星シリウスAのことを、彼らは「シギ・トロ(シギの星)」や、「ヤシギ・トロ」と呼ぶ。60年ごとに行われるシギの祭礼の儀式と深く関係している。

彼らはシリウスAを焦点にして、50年周期で楕円軌道を描いてまわる別の星(シリウスBのこと)を、彼らは宇宙の中心に置いている。この星が宇宙におけるあらゆる創造の出発点だという。

ドゴン族はこの星を「ディジタリア」、または「ポ・トロ(小さな星)」と呼んでいる。

「ポ・トロ」は天空の中でいちばん小さい星だが、いちばん重い星でもあるという。「サガラ」という地球上のすべての生物が集まっても持ち上げられない重い物質でできており、「地上のすべての鉄に匹敵する」重さの物質だという。
これが伴星のシリウスBのことで、まさに、白色矮星であることを知っていたかのようである。



ドゴン族の知識には、ほかにも地球は太陽のまわりを運行しているとか、土星にはリングがあること、あるいは、木星には4つの衛星がある、などというものがある。

月は「乾燥し、乾ききった血のように死に絶えている」ともいう。もちろん、こうした知識は、人間の肉眼で獲得できるようなものではない。

実際にドゴン族の神話に出てくる“ポ・トロはシギトロのまわりを50年かけて回る”という伝承は、
現実に、シリウスBはシリウスAの周囲を50年かけて公転していることから確認できる。

また、“ポ・トロは白く、地球にはない“サガラ”というとても重い金属で出来ている”というものも、
事実に則している。シリウスBは白色矮星であり、天体望遠鏡で観測すると白く見え、さらには1立方センチあたり1トンという非常に重い金属製の物質で出来ているのだ。

さらに、ドゴン族は人体についても高い知識を持っており、血液が空気(酸素)を取り込んで、体内の臓器を循環していることや、赤血球と白血球の違いも知っていたという。このような医学的知識は、私たちの歴史では近代から現代に相当するとされている。


彼らはなぜ、そんな知識を知ってたのか?


なぜ、ドゴン族が天文学的事実を知り得たか、についてのドゴン族の盲目の長老オゴトメリの回答は以下のようなものだったという。

「遠い昔、偉大なる神アンマは宇宙でノンモを造りノンモに似せて人間を造った。
ノンモは人間の祖先と共に方舟に乗って空から大地に降りてきた。
そして正しい知恵を人間に与えてくれた」

「ニャン・トロ」という星に住む”ノンモ”という存在が人類文明の始祖となったのだという。
このノンモはドゴン族の造る彫刻や壁絵などにも頻繁に登場する存在で、半魚人のような容姿をしているが人間の姿にもなれるという。
アンマを神とした場合、ノンモ
は天使のようなものだとされている。

そのノンモが“方舟”とともに地球に下り、人類に文明を授けたというのだ。

はたして、真相は?


これら、ドゴン族の高い天文学的知識は「シリウス・ミステリー」という名前がつけられ、
長い間謎とされてきた。しかし、近年さまざまな仮説が、たてられている。

「ドゴン族は原始種族」というと、いかにも現代文明と接触がないように思ってしまうが、実際にはドゴン族の居住地のすぐ近くには、イスラム人の住むバンジャガラという街があり、ドゴン族は19世紀から彼らと交流があった。
また、19世紀末には、フランスがこの地域を植民地にしていた。
1931年から民俗学者のマイセル・グリオールらの調査団がドゴン族の世界に入りこんでおり、1936年からはプロテスタントの宣教師も入っていた。

シリウスの伴星に関する伝承の存在が明らかになったのは、1946年以降の調査。
これらのことや上でも指摘した疑問点などから、シリウスに関する伝承は、「19世紀以降に接触のあった西洋人が、ドゴン族に天文学の知識を与えたのではないか」と推測されるというのだ。

▲国立天文台

さらに別の説として、「実は過去にはシリウスBは見えていたのではないか?」という説もある。

国立天文台副台長の渡部潤一理学博士によれば、白色矮星であるシリウスB(ポ・トロ)は遥か太古の時代、赤色巨星であり肉眼での観測が可能であったというのだ。

そもそも白色矮星は赤色巨星と呼ばれる太陽の何百倍もの半径をもつ明るく巨大な星が崩壊し、残骸からできた星である。
つまりシリウスBもかつては地球上から観測できる赤色巨星だったというのである。


また、アフリカ北部に住む部族の間ではシリウスを神聖な星と崇める傾向があるそうだ。
現に古代エジプトでも、ナイル川の氾濫の時期をシリウスの出現する時間によって、知っていたとされている。

ドゴン族にとって、“双子”も神聖かつ重要な意味を持つ。グリオール博士の調査によればドゴンの人々は「一切のものは双子である」と考えているのだという。
その思想が下敷きとなり、シリウスだって双子に違いないという想像が生まれたのではないか、という説もある。

はたして真相は?



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