世界各地で2000人もの人が「同じ男」(下記)の夢をみたという。この夢に現れる謎の男は「This man」と呼ばれ、2006年1月に最初の目撃が報告されてから、ネット上で彼を捜索するサイトまで立ち上がっている。なぜ同じ男がさまざまな人の夢に現れるのか?「This man」とは一体何ものなのか?
ことの始まり
モンタージュはそれからしばらく医師の机の上に置きっぱなしにされていたが、数日後それをたまたまある患者の男性が目にしたところ、今度は彼の夢の中に頻繁に同様の見知らぬ人物が現れる様になったのだ。
この現象に興味を抱いた精神科医は、 同僚の医師達にモンタージュを送ったところ、数ヶ月以内に4人の患者が同様のモンタージュの男を描いたという。
こうして、そのモンタージュの男は『This man』と名付けられた。
謎の男「This man」
(写真:Ever dream this man?)
医師らは現実的に『This man』を探すために、インターネットのウェブサイトを開設した。
そうしたところ、2006年1月から2009年までに世界各地から2000人の目撃証言が寄せられた。しかも、目撃証言はアメリカ、ドイツ、中国、ローマ、ロシア、フランス、インドなど世界各地から届いたというのだ。
濃い眉毛、大きな目と大きな口。頭は左側に分け目がある。この男は実在しているか分からない。しかし、夢でみた人たちの証言は、さまざまだ。
「『This man』が夢の中で私のそばに座っていた」
「窓の外から、『This man』が私をずっと凝視していた夢を見たことがある」
「私が夢で最初に彼に会った時、彼と恋に落ちていた」
そのほかにも、「This man」が自分の側に立っていたとか、微笑みながら追いかけられたとか、色々な夢のバリエーションがあるようだが、基本的にはやはり不気味な夢という事ということになっている。
同サイトの運営者は、「夢の中で「This man」と遭遇して怖い思いをしている人を孤立させない」、 「世界中の人が同じ人物に夢の中で出会う謎を解明する」という目的の為に、現在も活動を続けているという。
また、ネット上だけに留まらず、 アメリカ、イギリス、ブラジル、イタリア、スペイン、ニュージーランド等では、いたるところにポスターが貼り出されているという。
なぜ同じ男の夢を見るのか?~さまざまな説
なお、この謎の「This man」については科学的な説がいくつか出されており、なんとなく見た事がある様な気になっているだけの単なる錯覚に過ぎないというものから、 ストレスを感じると誰もが夢に見やすい典型像なのではないか、 この強烈な顔を見た事で頭から離れなくなって夢にまで見てしまう、 あるいは実は神の姿であるなどと言われている。
一番興味深い説としては、「This man」は実在する人物で、特殊能力によって他人の夢に入り込める ドリーム・サーファーなのではないか、というものあるという。
しかし一方で、 実はこの「This man」は、イタリアのマーケティング専門家アンドレア・ナテッラが、
市場でデマが広がるスピードを調べる為の実験なのではないか?とも指摘されているという。
先述のサイト『EVER DREAM THIS MAN?』でも、Whois(ドメイン登録者検索サイト)で調べると彼の名前が出てくるとも言われているのだ。
人類の見る夢の種類は決まっている?
「This man」の正体については判明していないが、米国の臨床心理学者が「人類が見る夢」に関するある興味深い研究成果を公表したという。
国籍や性別、貧富、善悪、宗教の信仰や文化の背景など様々にもかかわらず全世界60数億人もの人類が毎晩見る夢というのは、たった12種類に分別されるという。しかも、ひとつの夢には「良い夢」と「悪い夢」が対になっているとされる。その12種類の夢とは?
<人類の見る12種類の夢>
1: 憧れの人や映画スターと抱擁していたのに、なぜか猛獣や怪物などの恐ろしいものに追いかけられる夢。
2: 大病が癒えて新たな人生を歩み始める希望に満ちあふれていたのが、また大病や大けがをする夢。
3: 自動車などのブレーキがきかないという悪夢。
4: 豪邸や高級品をゲットしたはずが、また財産をなくしたり家を火事で倒壊する夢。
5: 試験に合格する嬉しい夢と、試験に落ちる悪夢。
6: 自由に空を飛びまわっていたのが、落下して海に落ちる悪夢。
7: 綺麗な衣服やアクセサリーを身につけていたのが、なぜか公衆の面前で裸になって恥をかく夢。
8: 電車や飛行機に間に合ったと安堵していたら、ちょうど出発して乗れない夢。
9: 亡くなった親友や身内と電話していたが、電話が突然途切れてしまう夢。
10: 楽しく観光していたら地震がおこり、火災や事故に巻き込まれる悪夢。
11: 欲しかったものを手に入れるが、道に迷い、物を落として、二度と見つけられない夢。
12: 亡き身内を夢でみた後、本当に霊となって出てくると思ってしまう(よいか悪いかは人それぞれ)。
この中で、最も人類の多くが見ている夢は1の「追撃」で、次に11の「道に迷う」6の「高い場所からの墜落」7の「恥をかいて傷つく」の順番だという。
さらにカナダやフィンランドの科学者が言うには、夢の世界というのは、人体を緊張させている性運動によっておこるので、人々に心理的にあらゆる危機に対する準備をさせるものだというのだ。